【椿―tsubaki―12】




 帰り道。
 真っ赤になった常蔵から厄介払いされた二人は仲良く帰路に着いたのだが、春哉の様子がどうもおかしい。妙に内股で歩き、心なしか息が荒い。
「おい、春哉。体の調子でも悪いのか?」
「え?!……い、いえ!そんなことないです!」

 そういえば賢悟が言っていた。薬でも飲まされたんじゃないかって。

「お前、和泉屋の奴に媚薬でも飲まされたのか?」
「そんな……ことっ」
 正確には挿れられたのだが。春哉はあのおぞましい出来事を思い出し、身震いした。
「隠すな。本当は歩くのも辛いんだろ?ほら、おぶされ」
「……人目がありますッ!それにあとで自分でヌくから大丈夫……」

 そう言って耐える春哉が痛々しかった。多少手荒ではあったが、無理やり春哉を背に担ぐと急いで長屋に向かった。背中の春哉はしばらくの間「降ろせ」だの「恥ずかしい」だのとじたばた暴れていたが、やがて諦めたのか大人しくなった。
 長屋に着き、春哉を部屋に運んでから、戸に突っ張り棒をかけた。荒い息で横たわる春哉は賢悟の言ったとおり、いつもの数倍色っぽかった。
(こんな姿を和泉屋だけでなく、賢悟にも見せたってのかよ……)
 でも今は自分が興奮してる場合じゃない。とにかく春哉を楽にさせてやることが先決だ。

「春哉、足を開け」
 おずおずと開かれた足を両手で無理やり押し開き、着物のあわせを割ってゆく。そこに現れたのはもう何度も見てきた綺麗な形の。
 数馬が慣れた手つきでそれを扱きあげ、口に含んでは舌で愛撫する。その度に頭上から甘い声が聞こえてきた。懐かしい、あの声。
「うあッ……か、ずまさんッ!まっ、て……」
 あの白い手首が数馬の頭を掴んでいた。あの時感じた心の奥のざわついた感覚は嫉妬だったんだと数馬は気付かされた。他の奴に春哉がこんな姿を見せたことに苛立っていたのだ。
 丹念に愛撫していると、先端が透明の液体でしとどに濡れてきた。水音がしんとした部屋中に響いている。
(よかった、ちゃんと感じてる)
 花形の陰間だった春哉は、数馬より巧い客も経験しているはずだった。数馬もそれなりの場数を踏んできているので自分の技に自信がないわけではない。しかし、男同士のそれに場慣れしているのは春哉に違いない。だからこそ不安を煽られていた。

「数馬、さんっ!早く……早く来てッ……!」
「ΩΦξΨ♪♂♀ωゝΘδ★???!!!」
 以前の春哉は自分から誘うことなんか絶対にしなかったが。これも薬の効果なのか??数馬はまず春哉を満足させてやろうと感じていたので、自分が満足する気はさらさらなかったのだが、こうして誘われると……理性が持ちそうにない。
「いいのか?お前……」
「いい、からっ!早くッ!」
 慣らすために指を差し入れる。差し入れて右へ左へ浅く深く掻き回す。その間も数馬は迷っていた。本当にいいのか?今まであれだけ嫌がっていたのに。薬の効果にしては出来すぎじゃないのかと。  しかし、切羽詰った春哉の声が全て押し流してしまう。ああ、もうどうにでもなれ!!
 春哉を立たせて自分の着物の褄を割った。胡座(あぐら)をかいた俺の上に跨るように春哉を位置取らせ、腰を固定させるために両手で支えた。
「ゆっくりでいいから腰を降ろして……」
 こくんと肯いた春哉は緩慢な動作で言われたとおりにする。数馬の肩に両手を乗せるとゆっくりと腰を下ろしていく。数馬の先端に触れるか触れないかというところまで来た時、重力に従って一気に――――――――

「ああああっ!!」
 噴き出す汗が春哉の肌を伝う。喉を仰け反らせ嬌声を上げる春哉を、数馬は下から仰ぎ見ていた。何年ぶりに肌を合わせたのだろうか。それでもこんなに乱れた春哉は見たことがない。あの頃は時折か細く鳴くだけだったのに。
 何度も何度も突き上げ、春哉を鳴かせる。やがて限界が近づいた春哉は自ら数馬に口付けすると舌を差し入れ蹂躙し始めた。
「ふっ……ッ、んっ」
 声を上げるのはもちろん春哉。その声が可愛らしくて、数馬は一層強い突き上げを始めた。
「あッ、もう、駄目ッ……!――――――っああッ!!」



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